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おしながき

おせち料理に、しあわせへの祈りを詰め込んで

お正月に食べる「おせち料理」。「おせち」は伝統的な行事食であり、最も大切な和食の一つですね。でも、「どうしてお正月におせち料理を食べるんだろう?」「おせち料理がお重に詰めてあるのはどうしてなんだろう?」など、言われてみると気になることがありませんか? 昔の人たちがおせち料理に込めた意味を知れば、家族みんなで新年を迎えられる喜びが、より深まるかもしれません。

そもそも、お正月ってどんな行事?

一年の始まりを祝うお正月は、歳神(としがみ)様を各家庭で迎える大切な年中行事です。歳神様とは、実りをもたらしてくれる田の神さまであり、また、その家の祖先神(そせんしん)でもあります。

お正月になると、門松をたてて歳神様をお迎えします。門松は神様がお正月の間、宿る場所でもあります。 そして歳神様へのお供え物として鏡餅を用意します。お正月に子ども達が最も楽しみにしているお年玉は、このお餅を歳神様からの贈り物として子どもに分け与えたことから始まったものです。「年玉」には、「歳神様の魂」という意味があります。

おせち料理の意味

おせち料理も、鏡餅と同様に、もともとは歳神様へお供えするために作られたものでした。おせちをいただくことは、歳神様と食事をともにするということ。歳神様と同じものを一緒に食べることで、福を招き災いを打ち祓うと考えられていました。

また、おせち料理に詰められている料理には、五穀豊穣、家族の健康や幸せ、子孫繁栄の祈りが込められています。たとえば、黒豆の煮物。魔よけの色とされている黒い食材を使うことで、「丈夫にまめまめしく(=まじめに)暮らせるように」という願いを表現しています。

子ども達に人気のきんとんは、漢字で書くと「金団」。黄色い色が黄金に、栗は小判に見立てられ、「今年も豊かな一年であるように」と願います。昆布巻きは、「よろこぶ」に通じる縁起物の食材である昆布を、昔は貴重な宝物だった巻物(書物)の形にしたものです。そして、これらの料理は、「福を重ねる」「めでたさが重なる」という意味を込めて、重箱に詰めて重ねるようになったそうです。

お正月という行事、そしておせち料理のいろいろな料理には、新しい年を迎えられたことへの感謝と、また一年幸せであるようにという願いが込められているんですね。当たり前のように食べていたおせち料理。今度のお正月には家族の話題にしてみませんか?