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おしながき

子どもが生まれたら~知っておきたい7つの人生儀礼~

日本人の生活の中にある「ハレの日」には2つの種類があります。ひとつは年中行事で1年の決まった時期に行われる、お正月や七夕など。もうひとつは人間の成長にともなって節目の日に行う、人生儀礼です。

赤ちゃんが誕生してから成長していく過程で様々な節目があります。それぞれの節目に行われる人生儀礼の席では、子どもが無事に育ち、長生きできるようにと願い、お赤飯やご馳走を用意して、家族で食卓を囲んできました。今回は赤ちゃん誕生から13歳までの人生儀礼をまとめてみました。赤ちゃんが生まれて喜びもつかの間、赤ちゃんが退院するとお世話で大忙し。今からどんな人生儀礼があるのか、知っておくと安心です。

誕生してすぐ行うこと

出産した直後にご飯を炊いてお茶碗に高盛りにします。そして産神様に感謝を込めてお供えをします。行う場合は、出産した直後のママは準備が難しいと思うので、パパやおじいちゃんやおばあちゃんに事前にお願いしてみるとよいかもしれませんね。

誕生から7日目の夜に行う「お七夜

誕生から7日目の夜を「お七夜」といい、赤ちゃんの名前を命名紙に書いて神棚などに飾り披露します。そして、家族や親戚でお祝い膳をいただきながら赤ちゃんの成長をお祈りするのです。出生届を出す期日は生後14日以内ですが、お七夜の日くらいまでに名前が決まっていると慌てなくてよいかもしれませんね。

生後30日前後に行う「お宮参り」

土地の守り神である産土神(うぶすながみ)に赤ちゃんの誕生を報告して、長寿と健康を祈ります。晴れ着を着せた赤ちゃんを、父方の祖母(姑)が抱いてお参りするのが一般的です。

生まれて間もない赤ちゃんですので、ひょっとしたらこのタイミングが初めて長時間の外出になるかもしれません。天候状況、赤ちゃん本人と家族の体調の様子をみて行いましょう。

生後100日頃に行う「お食い初め」

“一生食べることに困らないように”とお願いをしながら、赤ちゃんに食事を食べるマネをさせる儀式です。氏神様の境内で拾った「歯固めの石」を赤ちゃんの歯茎に触れさせて、石のように丈夫な歯が生えるようにとお祈りをします。お食い初めのメニューはお赤飯、尾頭付きの鯛、煮物、香の物、汁物の一汁三菜が一般的とされています。

満一歳の誕生日「初誕生」

赤ちゃんが生まれてからちょうど1年、1歳の誕生日。一生食べ物に困らないように、力強く育つように、と願って一升分の餅米でついた「一升餅」を風呂敷に包んで背負わせて歩かせたりします。餅を床に置いて踏ませる地域もあるそうです。餅を背負った子どもが泣けば泣くほど、元気に成長すると言われています。子どもが泣いてしまって良い記念写真が撮れない!と思ってしまいがちですが、この日ばかりは泣いてもよいのですね。

3歳、5歳、7歳の11月15日に行われる「七五三」

パパやママ、子どもにとって特別な行事、七五三。赤ちゃんから子どもへと成長して、これからも元気に育って長生きできるように、日本の伝統的なお祝いのやり方や由来を覚えておきましょう。

七五三は、3歳の男女・5歳の男の子・7歳の女の子の健やかな成長を願って、晴れ着姿で神社にお参りをします。昔は、3歳の男の子、女の子はこの日を境に髪を伸ばし始め、5歳の男の子は初めて袴を身に付け、7歳の女の子はそれまで着付けに使っていた紐を帯に変えたとされました。

これは、公家や武家で行われていた髪を伸ばし始める「髪置き」、初めて袴をつける「袴着」、結び帯を使い始める「帯解き」に由来しているそうです。また、死亡率が高い不安定な時期を過ぎたことを祝うと同時に、大人への第一歩を子ども自身に自覚させるものでした。

ちなみに、七五三に欠かせない千歳飴は「千歳」という名前のとおり、健康や長寿を祝って子どもに持たせたもの。元々は麦芽から作った細長い飴を縁起の良い紅白に染めたものでした。

関西を中心に行われている「十三参り」

13歳になったら「十三参り」という行事があり、関西を中心に行われています。馴染みがない方もいるかもしれませんが、最近では関西以外の地域でも行っているようです。数え年で13歳というと初めて干支がひと回りする年齢ですね。この「十三参り」にも七五三と同様に、大人への仲間入りの準備をさせる意味があります。

こうしてみると、昔ながらのしきたりにはきちんとした意味があることがわかります。とはいえ、風習どおりにこだわりすぎて子どもの負担になってしまっては本末転倒。子どもの成長を願う気持ちを大事にした上で、無理をしないで楽しんでくださいね。きっと素敵な思い出になるはずです。